アクション・リサーチとは、問題を把握し、必要な対策を講じてその結果を検証するもので、今日、教師教育・授業改革の方法として注目されています。このシリーズでは、年間を通して、実際にアクション・リサーチに取り組み、授業改善に効果のあった指導法を紹介します。今回は、パフォーマンス・テストを授業に取り入れた福元先生と奥田先生の実践です。
パフォーマンス・テストとは、エッセイ・ライティング、プレゼンテーション、インタビュー、ペアワーク、グループ・ディスカッションなどを使ったテストのことです。実生活で使用されるスピーキングやライティングのタスクを用いるため、多肢選択テストに比べてauthenticity(真正性)が高く、学習者のみならず教師が授業の目的であるタスクをやり遂げようというモチベーションが上がると言われています。ここでは、パフォーマンス・テストを使用してアクション・リサーチに取り組んでこられた2名の先生方が、その指導内容について、使用するワークシートや評価表などを用いて詳しく解説し、ポイントとなる場面を模擬授業形式にて紹介しています。従来の筆記テスト重視の授業に比べ、授業をコミュニケーション重視に変え、パフォーマンス・テストを実施することで、生徒のモチベーションが上がり、学習効果が高まることがわかりました。
2013年3月、文部科学省は、「各中・高等学校の外国語教育における『CAN-DOリスト』の形での学習到達度目標設定のための手引き」を発表し、コミュニケーション能力を測定するため、「多肢選択形式等の筆記テストのみならず、面接、エッセー、スピーチ等のパフォーマンス評価」を実施することを提唱しました。パフォーマンス・テストを導入することによって、授業が変わり、生徒が変わります。是非ご参考にしていただき、日々の授業改善にお役立てていただければと思います。
◎中学編 指導内容
structured-input activityを通して新出文法を導入し、形・意味・用法に気づかせる。繰り返し聞かせたり口頭練習させたりして新出文法の使い方に慣れさせた後で、structured-output activityを通して自己表現のために活用させる。単元の最後のまとめとして、単元の中で習った全ての新出文法を用いてコミュニケーション活動を行い、パフォーマンス・テストをします。
■監修・解説:佐藤一嘉(名古屋外国語大学 外国語学部英語教育科教授/名古屋外国語大学大学院 TESOL『英語教授法』コース主任)
■授業・解説:福元有希美(愛知県大口町立大口中学校/前 江南市立布袋中学校)
奥田紀子(愛知県立天白高等学校/前 愛知県立豊田東高等学校)